企業の入社式に関するプレスリリースは、入社式の認知拡大を図るだけでなく、採用ブランディングの観点でも大きなメリットがあります。メディア関係者へのアプローチも期待できますが、具体的に何をどのように書けばよいか悩むこともあるのではないでしょうか。
本記事では、入社式のプレスリリースを配信するメリットと、作成時のポイントをご紹介。あわせて参考になる配信事例を10件ピックアップしているので、入社式に関する広報PR業務を担当されている方は、ぜひプレスリリース作成の参考にしてみてください。
入社式のプレスリリースを配信するメリット
入社式に関するプレスリリースを配信する主なメリットは、以下のとおりです。
- 採用ブランディングになる
- ステークホルダーに情報が届く
- 社内のモチベーション向上につながる
なかでも、採用ブランディングへの貢献は大きく、入社式開催前にプレスリリースを配信することで、企業の姿勢や価値観を社会に示す効果が期待できます。入社式当日の様子だけでなく、入社式後のイベントや研修プログラムなどもあわせて紹介することで、大学生や就業希望者はもちろん、その家族まで幅広くアプローチできる可能性があります。
また、従業員が入社式のプレスリリースを目にすることで、自社の理念や取り組みにあらためて触れる機会となります。新入社員の姿勢や意気込み、入社式に参加した同僚の様子などを伝えることで、既存社員にとっても自身の業務や役割を見つめ直すきっかけとなり、日々の仕事に前向きに取り組むための良い刺激となるでしょう。
入社式のプレスリリースに盛り込みたい5つの項目
プレスリリースの効果を最大限に高めるためには、必要な情報を過不足なく盛り込まなければなりません。日時や場所といった基本情報はもちろん、役員コメントや自社の育成プログラムの紹介など、企業イメージを高める要素を意識的に取り入れましょう。入社式のプレスリリースに盛り込みたい5つの代表的な項目をご紹介します。
項目1.日時・場所・参加人数などの開催概要
入社式のプレスリリースでは、日時・場所・参加人数といった基本情報を明記しましょう。「〇月〇日に開催しました」と文章で記載するだけでもよいですが、箇条書きにして整理することで、視認性が高まり読みやすくなります。
入社式概要の例
- 日時:202*年*月*日(*)
- 会場:〇〇株式会社(東京都〇〇区〇〇)
- ゲスト:タレント・〇〇さん
- 登壇者:株式会社〇〇 △△社長
- 参加人数:新入社員〇〇名
開催前にプレスリリースを配信する場合は、こうした情報がメディアからの取材依頼につながる可能性もあります。ただし、詳細すぎる情報はトラブルのリスクもあるため、公開範囲については慎重に判断しましょう。
項目2.自社の採用実績
入社式のプレスリリースには「今年何人採用したか」「過去と比べてどの程度増減したか」など、採用実績に関する情報も重要です。採用人数が大幅に増えた年は、企業の成長や事業拡大を示す格好の材料となります。
採用実績の明示は、学生を中心とする若年層へのアプローチに有効。「毎年〇人前後を採用している」「採用人数が年々増えてきている」といった情報は、企業の安定性や将来性を伝えるうえで効果的です。
項目3.役員や新入社員のコメント・メッセージ
社長や役員、新入社員のコメント・メッセージは、プレスリリースに盛り込むのがおすすめ。新入社員のスピーチを紹介することで、同年代の就職希望者や学生に共感を呼びやすくなります。
スピーチの内容だけでなく、発表の様子がわかる写真を添えることで、入社式の雰囲気をよりリアルに伝えられるでしょう。役員の紹介文や写真、コメントもあわせて掲載することで、企業としての方向性や人材への姿勢をより深く印象づけられます。
項目4.新入社員研修など入社後の育成プログラム
入社式の様子に加えて、新入社員が入社したあとの取り組みも積極的に伝えましょう。社内の育成制度に関する項目を設けることで、自社が注力している部分や力の入れ具合を訴求できます。
たとえば、新入社員向けの研修内容、メンター制度、フォローアップ施策などを紹介するのがおすすめです。育成プログラムの充実は企業の成長力に大きく関わるため、プレスリリース内で明示できるよう情報をそろえておくとよいでしょう。
項目5.事業内容や企業としての活動内容
新入社員に関する情報とあわせて、企業の事業内容や活動内容も簡潔に紹介しましょう。プレスリリースのメインとなる項目ではありませんが、「企業として何をしているのか」を明示することで、読み手の理解を深められます。
メディア関係者はもちろん、新入社員の家族や中途採用希望者といった幅広い層に向けて、企業の魅力を伝えることを意識しましょう。地域密着型の活動実績や取り組み、社会貢献活動、自社ならではの福利厚生プログラムなどをピックアップするのも一案です。
入社式のプレスリリース作成時の3つのポイント
入社式のプレスリリースを作成する際は、魅力的なビジュアルコンテンツやストーリー性を意識することも大切です。単に入社式の様子を淡々と伝えるのではなく、読み手に「どのようなインパクトを与えられるか」を模索していきましょう。
ここでは、入社式のプレスリリース作成時に特に重視したい3つのポイントを解説します。

ポイント1.ビジュアルコンテンツを充実させる
テキスト量が多いプレスリリースは、読みづらい傾向にあり、読み手の関心を引きにくくなることがあります。そのため、画像や動画などのビジュアルコンテンツを充実させることが重要です。入社式後の配信であれば素材も集めやすいため、会場の規模や式の雰囲気が伝わる写真を豊富に用意しましょう。
可能であれば、動画素材を用意するとより充実度が高くなります。役員や新入社員のスピーチ、オリエンテーションの様子などを撮影できるよう、動画用の機材を用意しておくのがおすすめです。また、有名人を招いている場合は、写真・動画を掲載することでメディアフックとしての効果も期待できます。
ポイント2.スピーチや事業紹介でストーリー性を持たせる
入社式のプレスリリースをきっかけに自社情報を伝えるためには、ストーリー性も必要です。入社式の様子を紹介する項目はもちろん、役員メッセージや事業内容の項目でもストーリー性のある文章になっているかチェックしましょう。
特に、社会的意義のある事業や活動についてを発信する場合は、自社ならではの独自性を深掘りすることも大切。スピーチで話した内容やコメントに加え、新入社員の入社後にどのような教育を行い、企業全体の発展・成長へどのようにつなげていくのかといった展望を構造化できると、企業の存在意義も伝わりやすくなります。
ポイント3.明確な数字で具体性を高める
プレスリリースには、入社式の参加人数や新入社員数など、具体的な数字を必ず盛り込みましょう。明確な数値情報は、企業の信頼性に関わるだけでなく、採用実績を客観的に伝えられるためです。
また、事業内容や沿革などを詳しく紹介する場合には、規模がイメージできる従業員数・役員数や事業展開の歴史(開設年)といった数字も実績を示すために役立ちます。特に、採用ブランディングを意識するのであれば、数字を用いた説明は効果的です。
入社式のプレスリリース事例10選
ここからは、実際に配信されたプレスリリースの中から、参考にしたい事例を10件ピックアップしてご紹介。それぞれの事例で、魅力的な書き方や伝え方が工夫されています。自社のプレスリリースの作成に活かせそうな要素を、ぜひ取り入れてみてください。
事例1.三菱鉛筆株式会社

- 「ユニーク入社式」「鉛筆けずり入社式」とインパクトのあるタイトル
- 入社式の雰囲気をイメージさせる新入社員の声を紹介
- 実際に鉛筆けずりに取り組む新入社員の写真で自社事業ならではのプログラムを訴求
参考:三菱鉛筆恒例 ユニーク入社式 第18回『鉛筆けずり入社式』を実施
事例2.森永乳業株式会社

- プレスリリースの冒頭で入社式参加者の集合写真を掲載
- サプライズで登場したゲストとの企画を詳しくレポート
- 関連プロジェクトである大阪・関西万博についても訴求
参考:【森永乳業入社式レポート】新入社員は浅田真央さんを倒せるか!?大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」で出展する未来型シューティングゲーム「VR腸内クエスト」 で“ガチンコVRバトル”
事例3.ぺんてる株式会社

- 絵の具を活用した入社式プログラムで、画材メーカーらしさを表現
- 豊富なビジュアルコンテンツを掲載し、式の様子を鮮明に伝えている
- 自社製品の社会的意義や受賞実績にも言及
事例4.株式会社星野リゾート

- 運営施設の同エリアである動物園を活用した入社式で、地域とのつながりを伝えている
- 総支配人と新入社員のコメントを掲載
- 新入社員研修参加後の講座企画も取り上げ、動物園で開催した意義を訴求
参考:【OMO7旭川】ご近所さんである「旭山動物園」で新入社員研修を行いました
事例5.キユーピー株式会社

- 「100周年」「新入社員133名」といったインパクトがある数字をタイトルに明記
- 自社商品の歴史と関連付けて、自社ならではの周年記念と入社式を紹介
- 入社イベントの内容を3つの見出しに分けて紹介し、段階的にピックアップ
参考:キユーピー マヨネーズ発売から100周年の節目に新入社員133名が参加する「グループ合同入社イベント」を初開催
事例6.合同会社DMM.com

- 「水族館だけどブタさんだらけの入社式」というユニークなタイトルで話題性を演出
- 新入社員9人とマイクロブタの集合写真で独自性を伝えている
- マイクロブタを起用した理由・目的を丁寧に説明し、ストーリー性を付加
参考:【DMMかりゆし水族館】「水族館だけどブタさんだらけの入社式」実施!
事例7.株式会社マーキュリー

- 総勢885人が参加した、大規模な入社式の集合写真をまとめたビジュアルコンテンツ
- 「April Dream」のプロジェクトと連動した企画内容も盛り込み、独自性を演出
- 社長から新入社員へのメッセージや新しいパーパスの紹介で、企業理念を明確に伝えている
事例8.中部国際空港株式会社

- 「過去2番目に多い」といった実績の明示により、信頼感を付加
- 航空業界らしい入社式の会場風景をビジュアルで紹介
- 社長のあいさつも要点を押さえて構成し、企業方針が伝わる内容に
参考:「2025年度 セントレアグループ入社式」を執り行いました
事例9.株式会社AQ Group

- 入社式から2日後のプレスリリース配信でタイムリーな情報を発信
- 入社式で取り組む「カンナ削り」「アスナロ植樹」の社会的意義を訴求
- 植樹後の移設や循環活用など、中長期的な取り組みも紹介
参考:AQ Group「匠の心と環境をつなぐ」入社式 「カンナ削り」と「アスナロ」植樹で“未来への循環”を伝える
事例10.ニッカホーム株式会社

- 過去最高値となる100人以上の採用実績となったことを明記
- 新卒内定者アルバイト入社制度などの教育プログラムに加え、入社式以外のイベントも紹介
- 企業が求める人物像にも触れ、採用広報としての役割も担っている
参考:【内定者数100名以上】ニッカホーム株式会社 2025年度新卒入社式を開催しました!
入社式の実施時に広報が行いたい3つの広報PR施策
入社式の開催が決まった段階で、プレスリリースの準備をはじめとした広報PR業務が発生します。配信のタイミングに応じた内容設計のほか、ビジュアルコンテンツの用意や、メディア関係者への情報提供なども重要です。
ここでは、入社式の開催前後に取り組みたい広報PR施策を3つに絞ってご紹介。スムーズな情報発信に向けて、プレスリリースの作成から公開までの流れを事前に整えておきましょう。

1.プレスリリースの配信時期に応じた内容を検討する
「入社式」というメインテーマは共通でも、プレスリリースの配信時期によって適切な内容を検討しなければなりません。一般的には入社式後にレポート形式で発信されるケースが多いですが、メディア関係者への取材依頼が目的であれば、開催前にプレスリリースを配信することも有効です。
開催前に配信する場合は、過去の入社式の様子や、今年度の入社式で予定しているユニークなプログラムを紹介することで、注目を集めることができます。開催後であれば、参加者の声や写真とともに式の雰囲気をリアルに伝える構成にするなど、タイミングに応じて最適な情報を選びましょう。
2.入社式の様子が伝わる写真・動画を豊富に用意する
当日の入社式の様子を伝えるビジュアルコンテンツは、プレスリリースの情報価値を大きく左右します。臨場感あふれる写真や動画があると、読み手に伝わる印象もぐっと高まります。式の様子をしっかり記録できるよう、撮影体制の準備を整えておきましょう。
メディア向けに配信する場合は、過去に行った入社式の写真を掲載するのも有効です。開催前のプレスリリースであっても「2024年度入社式の様子」といった注釈があれば、今年度のイメージを伝えられるためです。
また、撮影した素材は、自社のSNSや企業ホームページなどでも活用できます。多様な用途を見据えて、さまざまなシーンやアングルの写真・動画をそろえておくと安心です。
3.入社式の情報をメディア関係者に直接伝える
入社式を開催する際には、プレスリリースを公開するだけでなく、メディア関係者に向けて情報を発信することも大切です。個別に連絡する場合は、公開済みのプレスリリースを添付したり、別途作成したプレスリリースをPDFファイルで送付したりといった作業も忘れないようにしましょう。
メディア関係者に情報を届けることで認知が広まり、取材依頼を呼びかけるためにも役立ちます。入社式の開催前後にかかわらず個別連絡を行い、全メディア向けに配信するプレスリリースにも「取材について」などの補足を明記しておくとメディア関係者がコンタクトを取りやすくなるでしょう。
入社式のプレスリリースで企業の取り組みを発信しよう
届けたい相手に、想いを届ける。そのためには、広報PR業務の担当者としてプレスリリース制作のスキルが必要です。特に入社式のプレスリリースは多くのステークホルダーにアプローチできるため、メリットを最大限に発揮させられるような施策を練っていきましょう。
現場の雰囲気を伝えるには、写真・動画を豊富に用意することも大切。プレスリリースに盛り込むべき項目や作成時のポイントなど、今回ご紹介した内容を参考にしながら、自社らしさが詰まった入社式を多くの人に届けてください。
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